「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 感想
Twitterに感想を書くことに限界を感じたのでプログを作りました。
字数、という面もありますし、フォローしていただいている方々がだいたい創作系なので、あんまり感想ばっかというのもどうかと思ったので。
ちょうど、「打ち上げ花火~」を観たのでその感想を書きます。考察ではなく感想なので思ったことを箇条書きにするだけです。あんまりしっかりとした記事を書こうと思うと自分の場合絶対書かないので、リプレイできない映画を最初に選んだのは正解だったかもしれません。(lainの考察とかいつ記事にできるんだろう……)
さて、感想です。
- 実はあまり期待していませんでした。でも結構楽しめました。あんな満足感で映画館を出られたのは久しぶりです。事前期待が低かったし、原作を知っていたので話の流れがわかっていたというのもあると思うのですが、それだけではないような気がします。
- もちろん言いたいことは色々あったのですが、逆に、自分の経験上この作品のように「あそこはないよなあ」みたいに文句をぶつくさ言ってる作品とは長い付き合いになります。文句を言いつつ繰り返し見てて、ある日「自分この作品好きだ」と気づく、みたいな。(Myself;YourselfとかH2Oとか…… 全部世間的には糞アニメですが、自分は好きです)
これ以上感想が思いつかないので、以下、好きなシーンです。当然のごとくネタバレ注意です。
- もしも玉を最初に投げるシーン
「もしも玉を投げるとifの世界に行く」とはじめに聞いたときは、何でそんな改変をする必要があるんだろうと思いました。その思いは観終わった今でも変わりませんが、最初に典道が玉を投げるまでの流れは自然で、感心したのを覚えています。
- みんなでなずなと典道を追いかけるシーン
二回目の世界だったと思います。電車に乗っている姿を友だちとなずなの両親に見られて追いかけられるシーンです。このあたりから原作から外れてくるのですが、いい転換点だったと思います。
コミカルなシーンで、本編に最初から漂っていた悪い意味の緊張感が解けて良かったと思います。(逆に何で最初っからこれくらい軽くしてくれなかったんだろう?)
あと、これは深読みと言うか妄想なのですが、何となく2回目のループは「死」を連想させるものが多かった気がします(線路に飛び降りたり、2人での逃避行的な要素が強調されていたり、そもそも最後に落っこちてた)。それでもほとんど暗くならなかったのは心臓にやさしくてよかったなあ、と。
- まっ平らな打ち上げ花火
原作を見たときからいつか映像にならないかなあと思っていました。
- 最後のキスシーン
なんかこれで全部許せた気がします。自分がいちばん推したいシーンです。
誤解してほしくないのですが、自分は実はキスシーンというか映画の恋愛要素自体があまり好きでありません。毎回ボーイミーツガールものを見るたびに、「こいつら結ばれないで終わらないかなあ」と思うのですが(本当です。別に登場人物に嫉妬してるとか不幸を望んでるとかそういうわけでもありません)、当然最後には結ばれるのでいつもその欲求が満たされることはありません。
もちろん、今作にはキスシーンも恋愛要素もあります。でも、今作はわりと許せた気がしています。よくよく考えると理由は次の2つのような気がします。
- なんか恋愛っぽくない
2人の感情ってなんか普通に書かれるような恋愛っぽくないですよね。これは人によってはマイナス点かもしれないのですが、そもそも典道ってなずなのこと本当に好きだったんでしょうか。
もちろん、最後には好きになってましたけど、あんな経験すればだれでも好きになると思いませんか? そういえば、原作では典道がなずなの写真を星座早見の中に隠していたんですが、アニメではアルバムに改変されていたような。繰り返しの回数も増えていて、彼の消極性を原作よりも強調しているような気がします。もしかしたら製作スタッフが自覚的にやっていたのかもしれません。
記憶が曖昧なので間違ったことを言っているかもしれませんが、少なくとも、彼が積極的なアプローチをしていないのは間違いないのかと。 - キスの順序
二つ目の理由、と書きましたが、一つ目とそう違うわけではありません。
記憶が正しければ、2人のキスが最初に映し出されたのって平行世界の方だったような気がします。画面にもしも玉の欠片の世界が映し出されて、典道が実際になずなにキスするのはその後だったような。
とすると、順序が普通と逆なんですよね。典道は空想の世界で「自分となずなが結ばれている姿」を見て、現実(現実じゃないけど)の世界でもなずなの元へと飛び込むわけです。
こういう転倒が自分は好きです。
- なんか恋愛っぽくない
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そういえば、最初にこの映画の話を聞いて、主人公が中学生に改変されると聞いて随分期待値を下げたような気がします。そのとき、「そこまで設定を変えるんだったら原作と同じ話をやるんじゃなく、原作の筋を原作とは違った状況に置かれた登場人物が自覚的になぞるような話にしてくれないかなあ」なんて考えました。
この映画は小学生を中学生に変えたり、実写をアニメに変えたり、あるいは時代が変わっていたりしているわけですが、これでそのまま原作をなぞることで原作がどんなふうに「壊れる」のか、そして、作中で原作を「演じていた」キャラクターたちがそのときどんなふうに(原作にはない特質でもって)それに立ち向かうかを描ければ面白くなりそうだなあ、と考えたわけです。
私がこのアニメを面白いと思った理由はその願いが部分的に叶った(ような解釈を許容してくれた)からかもしれません。
自分はこういう「物語を演じる物語」みたいが好きです。それに夏が重なればもう言うことはありません。(というかそもそも日本人が想像する「夏」ってそれ自体物語だと思うんですよね。そして、そのイメージ形成に一役買っているのがたとえば原作なわけです)
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本当に箇条書きで終わりましたが感想は以上です。
興味ある人は見てみて損はないと思います。